田辺祐晟の「社会保障から見る資本主義・貨幣制度」

「議論百出の社会保障改善案に待ったをかける!社会保障ブログ」

「コミュニティ」からみる社会保障~社会起業家は時代の救世主になるか?

皆さんは「社会起業家」という名称をご存知でしょうか?かくいう私も社会起業家を名乗っているが、「本業は何?」と聞かれるのが悲しいところだ。

お金を生む職業しか職業でないと思い込んでいる人が多いのも仕方のないことだろう。
お金が全てを支配しているからだ。人の一生はお金の振り回される一生だ。そんな昨今ではあるものの私の友人:きくちゆみさんは18年間も社会起業家として環境問題・平和活動に活躍されながら生活の手段は千葉・鴨川での自給生活だ。文字通りご自身の活動テーマを地で行っておられることは敬服に値する。ほぼ100%環境循環型の生活圏を創られている。

実際のところ世界恐慌やハイパーインフレや食糧難によって勤務先や生活の術を失ってしまう可能性のある人々はある意味、最もリスクの高い生き方をしていると言えよう。
その逆にゆみさんの生活は極めてインディ(インディペンデンスの略・流行り言葉らしい)である。身に降りかかるリスクを限りなく軽減する方法はインディになることだ。具体的には「食糧」」「エネルギー」「お金」を中央集権から自立させること、つまりローカリゼーションである。

社会起業家という概念は1980年代初頭にイギリスで生まれたらしい。
福祉国家に代わって自立型の福祉システムを構築していく存在、停滞した社会を活性化する存在として注目され広がったということだ。現代に照らして言うなれば、下記2点が挙げられる。

①働くという行為を単に収入を得る手段としてでなく、自己実現の場だと考えている点
②社会や環境や人権など、地球環境の課題や地域社会が抱える課題に対して使命感を持って挑み、事業を行っているという点

そういえば最近、経済社会の覇者になりたい、ヒルズに住んで外車に乗りたい、最低週2回はキャバクラに行ける生活がしたい、などというキャリア・ゴールを持った人に出会わなくなった。そういう人とつきあいが無いからなのか?データは無いので何とも言えないが、もしかしたらアセンション(地球の次元上昇)の時期に入っているのが原因かも知れない。いずれにしても混迷の時代において良い方向に向かおうとする人が増えていることは喜ばしいことである。

本題に入る。
日本のボランティア団体・参加人数は明らかに増加している。

11261.gif

ボランティア団体は9万団体、参加人数は約700万人(1999年)となっている。ということは、人口の約5%が何らかのボランティアに参加しているということである。
さらに、日本の高齢者のボランティアの参加状況は国際的に見ても低いとはいえない。

11262.gif

米国程ではないものの、高齢者の社会福祉活動や町内会・自治活動への参加状況とボランティア数の増加を考えると、今後の高齢者による高齢者のための福祉が可能となる土壌はあると言える。実際に地方では伝統的に地域福祉やコミュニティ・ケアが行われている。
また、高齢者のなかで約2人に1人がボランティアに関心を持っていることがわかる。

11272.gif

まだ参加していない人のなかで「きっかけや情報、機会が無い」が約80%を占めていることがわかる。つまり情報を提供することで機会を作り出せば、高齢者の半数が参加する可能性がある。
では、ボランティアなどで活動することによって高齢者の健康とどう関係しているかを見てみる。

11264.gif

上記の通り、健康と働くことは相関している。
後半のチャート3枚とも高齢者にポイントを絞ったものになった理由は、医療保険が今後、制度存続していけるかどうか?は高齢者への支払いに有効な対策が打てるかどうかにかかっているからである。

退職者医療費+老人医療費の13兆円は今後増加の傾向にある。
「高年者が働くのは、怠けているよりも働きたいからである。仲間が欲しいからであり、依存したくないからである。これらの欲求が、経済的な理由と同じように、あるいはそれ以上に、彼らの労働力市場への参入を促している」(P・F・ドラッカー 変貌する経営者の世界)… 高齢者もインディになる時代が来ているといえる。

もしかしたら現在加速度的に増えつつある社会セクターが大きな問題解決の突破口になるかも知れない。そんな未来に自分の将来を重ねながら社会起業家で溢れんばかりの社会を期待したい。
次回は社会保障を取り巻く環境分析のまとめを示してみる。

「政府の役割」からみる社会保障~世界恐慌は来るのか?

米国発の世界バブル崩壊が懸念されている。これは私の予想を裏切り早まっている。おそらく米国経済は年内もたないだろう。私は2010年米国に北米連合による新機軸通貨アメロを創設させることによって金融資本家たちは大衆に知られる前に米ドルをアメロに移行することによって自分たちだけの資産を保全すると睨んでいた。ところが何重もの裏帳簿によって隠蔽されてきたといわれる金融資本家の負の遺産がここにきて突如明らかになってきている。

アメリカの経済学者:ラビ・バトラ博士(インド出身 サザン・メソジスト大学経済学部教授 国際貿易理論 デリー大学卒) が興味深い示唆を述べているので紹介したい。

~(引用)
「どんなに遅くとも2000年までに共産主義は断末魔の苦しい革命を経て崩壊し、2010年までに資本主義は崩壊するだろう。私の現時点(1978年)におけるこの予測は『経済60年周期説』に基づくものである。」

「わが恩師サーカー曰く、資本主義は『爆竹が弾けるようにして』崩壊する。世界同時大恐慌の発生による『搾取的』資本主義の崩壊と共に、『貨幣による支配』は終了するだろう。」

「『富の過剰な集中』が資本主義の崩壊を引き起こす。少数の富裕層はひたすら貯蓄に励んでお金を使わず、多数の貧困層はもともとお金が無いため消費できない。この『消費の歯車』の停止が資本主義を崩壊させる。」

「『自由貿易』が資本主義の崩壊を引き起こす。自由貿易による国際間の競争の激化のために生産者はコスト、ひいては人件費を削減することになる。賃金を低く抑えれば、結局消費は鈍化する。『消費の歯車』の停止が起こり資本主義は崩壊するのである。」

「将来、原油価格は投機バブルによって1バレル=100ドルを超えるだろう。しかしその後、この『原油バブル』は崩壊するだろう。」

「世界同時大恐慌はアメリカ住宅バブル・原油バブルの2つの投機バブルの崩壊から始まるだろう。NYダウは大暴落するだろう。資本主義は花火のように爆発する。日本と世界は同時に崩壊するだろう。」

「世界は大恐慌による混乱期を経てプラウト主義経済(均衡貿易、賃金格差の縮小、均衡財政、自国産業保護、終身雇用、環境保護、銀行規制など)による共存共栄の社会へと徐々に移行して行くだろう。光は極東の日本から。」

1978年の発言だということを考えるとお見事としか言いようがない。
私がなぜ社会保障を研究しているかと言えば、バトラ博士が言うような社会が訪れたとき、社会のセーフテイ・ネットとして社会保障論議は、さらに重要度を増してくると考えるからだ。一つだけ言い切れることは行き過ぎた競争の時代は終わりを告げ、共存共栄の時代となることだ。だからこそ「福祉」なのである。もし、バトラ博士が言うように日本から世界に光を灯すことが出来たらこの上ない喜びである。

さて今回は環境分析の本丸、「政府の役割」についてのまとめとしたい。
ビジネススクールの手法を拝借して3C(顧客・自社・競合)で考察してみよう。

081104-12.gif

日本政府を自社と仮定し、顧客、競合の状態を考えた場合、社会保障に絶対的影響を及ぼす顧客の動態「少子高齢化」について改善の兆しは無いこと。また保険料を払う・払わないというイニシアティヴを払い手である顧客または企業が握っていること。しかも保険料を払えという自社(政府)が許しがたい不祥事を数多く行っており顧客からの信頼もないなかで「制度の担い手は政府でなければならないのか?」また「制度そのものは必要なのか?」という議論が行われてしかるべきだといえる。

081104-21.gif

読売新聞社が実施した全国世論調査によると、「国の年金制度を信頼していない」と回答した割合は「どちらかといえば」を合わせ60歳代は70%、70歳以上で55%だった。これに対し20・30歳代はともに87%で、不信感は若年・壮年層で顕著だった。現役世代が政治に関心を示さず、年金などの支払拒否で対抗しているが根の深い問題と言える。

政府の腐敗指数CPI(Corruption Perception Index)というものがある。 NGO「Transparency International」によって算出されたこの数値は、数値が高いほど信頼度があると判定するが、日本は16位であり米国より2国分上位であるものの北欧諸国には到底及ばない状況にある。

081104-3.gif

尊敬するP・F・ドラッカー教授の言葉を拝借する。「政府の役割とは何か?政府だけが遂行出来る機能、そして政府が遂行しなければならない機能とは何か?」と問いただしてみたときに、もっとマシなやり方があるような気がしないだろうか?

私は自分の所属するコミュニティのなかにこそ、福祉の「解」があるような気がしている。もし政府が(もっと具体的に言えば)厚生労働省や社保庁が社会保障の在り方に余計な口を挟んでこないようにするためには憲法25条2項の廃止または改正が必要になる。これが日本における最強・最悪の利権といわれる厚生労働利権の拠り所である。

その意味で少なくとも、この憲法が国民の首を絞めていることを広く知ってもらいたいと願う。今、社会保障の担い手である現役世代が生まれる前に既にあったものである。終戦直後のこの文言がどのように解釈され、どのような使われ方をしているのか?バトラ博士の言われる時代が本当にそこまで来ているとしたら、あまりゆっくりとはしていられない問題だと思う。

次回は「勃興するコミュニティ」「社会セクター」の分析をしてみよう。

プロフィール

田辺祐晟 (たなべ・ゆうせい) 社会起業家 NPO法人社会保障研究所代表1969年生まれ。同志社大学卒業後、損害保険業12年間、生命保険業4年間で、法人・個人など数千件のフィナンシャルコンサルティングを経験。 2008年3月ビジネス・ブレークスルー大学院にてMBAを取得。同時に社会起業家として活動を開始。社会保障の在り方の視点から現在の資本主義、正確には「貨幣制度」の在り方に問題提起をしている。

過去の記事

▲このページの先頭へ