池田佳史の「ビジネス法務最前線」

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新株予約権による増資(資金調達)について

12月13日の日経新聞によれば東京証券取引所は新株予約権の無償割当に関する規則を改正する予定とのことです。その目的は、既存株主の権利を薄めることなく増資による資金調達ができるようにすることです。

株式会社は資金調達のために新株発行を行うことがあります。
新株発行の方法としては、不特定多数の投資家に応募を求める方法(公募)、関係先企業など特定の者に割り当てる方法(第三者割当)、全株主に平等に割り当てる方法(株主割当)があります。上場会社が通常行っているのは公募と第三者割当てです。
しかし、公募による場合、既存株主はそれ以外の投資家に優先して新株を取得する権利はありません。また、第三者割当による場合、既存株主は新株を取得する機会すらありません。
いずれにせよ、発行済みの株式数が増えることによって既存の株主の権利は薄まることになります。

東京証券取引所は、冒頭に述べた目的のために新株予約権を容易に利用できるようにする意向です。
新株予約権とは、権利者があらかじめ定められた期間内に、あらかじめ決められた価額を会社に払い込めば、会社から一定数の当該会社の株式の交付を受けることができる権利です。
新株予約権が行使された場合、会社は予約権行使者に対して新株を発行するか金庫株を交付します。新株を発行する場合、会社は予約権行使者が支払った価額の全部または一部を資本金として資本に組み入れて資本金の増加すなわち増資をします。
このように増資の手段として新株予約権を発行することがあります。
新株予約権を発行する場合でも、結局は新株を発行するのですから発行済みの株式数が増えます。それにも関わらず、新株予約権による場合には、なぜ、既存の株主の権利は薄まるという弊害が除かれるというのでしょうか。
新株予約権を発行する方法として全株主に割り当てる方法があり、これにより既存株主はそれ以外の投資家に優先して新株を取得することができます。
また、新株予約権を上場する制度が整備されれば既存株主は新株予約権を市場で売却することができます。このように換金できることになれば、新株を取得しない株主にとって、株主割当てによる新株発行の場合には単に権利を失うのに比べて大きなメリットが生まれると言えます。
このように全株主に新株予約権を発行することにより、通常の新株発行に比べて、既存の株主は自分の持ち分を維持するための方策がとりやすくなります。

プロフィール

池田佳史(いけだ・よしふみ)栄光綜合法律事務所、代表社員(弁護士) 1962年生まれ。大阪大学卒業後、1987年司法試験合格。1990年弁護士登録、栄光綜合法律事務所入所。1999年同事務所パートナー就任。1999年ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)ロースクールマスターコース(LL.M.)卒業。2003年同事務所を法人化し、「弁護士法人栄光」を設立、代表社員に就任。

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