バイオ・医薬品関連ベンチャーの苦境
2007年に新規公開した企業を業種別に見たのが図表3である。Web2.0関連の企業の平均時価総額が169億円とICT関連企業106億円、バイオ・医薬関連企業の61億円に比べて大きい。しかし、これは2006年の数値に比べると大幅な減少となっている。
時価総額減少率はWeb2.0関連の企業の5%、ICT関連企業63%、バイオ・医薬関連企業655%と、バイオ・医薬関連企業の減少率が大きい。特にバイオ・医薬関連企業は構造的に多額のリスクマネーを必要とするが、2007年においては未公開段階に23億円を調達、会社設立から12年かけて株式公開するものの時価総額は61億円、PER44倍、公開時の調達金額は7億円というのが平均像である。
バイオ・医薬関連企業は株式公開した後も研究開発を続け、承認手続きを続けなければならない。当面は売上高も見込めない企業が多い。研究を続けるために株式公開をするわけだが、その調達金額がわずか7億円では1年~2年しか会社を継続できない。株式公開後の増資ができる企業は現時点では少ないため、経営が行き詰まる企業が出てこよう。
2006年のバイオブームの時のように(図表4)、時価総額177億円、調達金額28億円、会社設立から9年であれば株式公開後も研究開発を継続でき会社経営も成り立とう。しかし、現時点ではバイオ・医薬関連企業を取り巻く環境は激変し、 Web2.0関連の企業、ICT関連企業以上に経営は厳しいものとなっており問題である。



長谷川博和(はせがわ・ひろかず) グローバルベンチャーキャピタル代表取締役、マネージング・パートナー
中央大学卒業後、野村総合研究所、ジャフコを経て、グローバルベンチャーキャピタルを設立、代表取締役社長。運営するファンドは、日本最高級の投資パフォーマンスを達成している。著書に「MBA国際マネジメント辞典」「決定版ベンチャーキャピタリストの実務」など多数。公認会計士。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士課程終了。学術博士(国際経営)。



